俺の住む町は、世間では**「サッカーの町」とか「朝ラーの町」**とか、やたらブランド化しようとしてくる。
しかし俺は断言しておく。
——サッカーも朝ラーも、ぶっちゃけどうでもよかった。
■兄貴のサッカー遠征と“伝説のまずいほうとう”
明誠高校ができるずっと前、兄貴はサッカー部だった。
俺はつきそいで甲府に遠征へ行ったが、いちばん記憶に残っているのは**試合ではなく“まずいほうとう”**である。
店の名前は覚えていないが、出てきたほうとうは
「麺が武器として使えそう」
「味噌の主張が強すぎてスープじゃなくて演説」
という、強烈な存在感を放っていた。
兄貴が言った。
「今日の試合より、このほうとうのほうがハードだわ」
俺は心の中でうなずいた。
(サッカーよりほうとうのほうが思い出深い町って、どうなんだ…)
■朝ラー文化? 知らん。
最近、町は「朝ラー!」と観光客にアピールしているが、当時の俺は知らなかった。
ラーメンは“昼”か“夜”に食うもの。朝から食ったら社会に負けた気がする。
そんな信念で生きていた。
地元の人に
「朝ラーの町なんだよ!」
と自慢されても、
(いや、俺にとって朝ラーは“未確認生物(UMA)”なんだが…)
と思っていた。
■マルナカ? ああ、あったような気がする
「マルナカ」という店もあったらしい。
だが、俺の記憶では
“マルナカ” → “看板は覚えてるけど入ったことはない店ランキング第1位”
なんとなく存在は知っていたが、入店経験ゼロ。
きっと俺の中では「行列のできないラーメン店」くらいの扱いだったのだろう。
■秋山眞人が一時期住んでいたらしいが…
この町には秋山眞人が住んでいた時期があるらしい。
UFO研究家として有名だが、俺は生涯で一度もこの町でUFOを見なかった。
ただし—
UFOじゃない“キノコ雲”は見た。
■花火屋の爆発と“本物のキノコ雲”
昔、花火屋さんで爆発事故があった。
そのとき空に上がったのは、まぎれもないキノコ雲。
近所の人が騒いでいた。
「UFOか!?」
「違うだろ、キノコ雲だよ!」
「どっちにしろ珍しいから写真撮っとけ!」
俺はそのとき思った。
(この町、空で起きるイベントが雑すぎる)
■結論:俺の町は「なんでも町」
サッカーも、朝ラーも、UFOも。
そしてまずいほうとうも、キノコ雲も。
全部ひっくるめて、俺にとってのこの町は—
“なんでも起こるけど、俺はその9割をスルーしてきた町”
である。
観光案内には絶対に載らない、
そんな俺だけの“地元ストーリー”なのであった。